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2015年1月3日土曜日

今年は何と言ってもSIMロック解除義務化が目玉

今年も無事に明けたところですが、今年は個人的に注目しているビッグイベントが控えています。
それは、2015年5月以降にキャリアが発売する全てのモバイル端末について、ユーザーが希望すればSIMロックを解除できるようになることです。


総務省、SIMロック解除義務化に関するガイドラインを正式発表! 2015年5月1日以降に発売の端末へ適用 | iPhoneひとすじ! かみあぷ速報

現在は、ドコモから発売される端末はドコモの回線のみ、auから発売される端末はauの回線しか使えないようにロックが掛けられています。(厳密に言うと、ドコモ端末はそのままでも、ほとんど全てのMVNO回線も使うことができますが。)

SIMロック解除をすれば、例えばソフトバンクから発売された端末でも、ドコモやソフトバンクといった別のキャリアの回線、さらには、基本的に全てのMVNO回線でも使用できるようになります。

例えば、これまではソフトバンク端末で2年縛りが終わった後、その端末はソフトバンクの回線で使い続けるか、あるいはその端末を捨てて、機種変やMNPするという選択肢しかありませんでした。
しかし今後は、その端末のままauやドコモの回線に変更したり、現在勢力を拡大しているMVNOのSIMカードに差し替えて使用し続けることが可能になります。

ユーザーにとっては、端末を無駄にせず、運用方法の選択肢が大きく増えるということです。
ただし、SIMロック解除の対象となるのは、あくまで2015年5月以降に発売する端末のみです。
このブログのメインであるiPhoneで言うと、おそらく来年秋ごろに発売される、iPhone 6s(iPhone 7?)から対象になることになります。


SIMロック解除義務化によって何が起こるのか?


今のところ、一般の人にはなじみの薄いSIMロックですが、SIMロック解除が義務化されると、具体的にどんなことが起きるのでしょうか?


SIMロック・SIMフリーという概念の一般化


そもそも現在は、一般の人にとってSIMロック、SIMフリーという概念はあまり意味がないため、それほど知られることはをありませんでしたが、今後はSIMフリー、もしくはSIMロックを解除した端末は、自由に回線を選ぶことができるという「常識」が、徐々に浸透するでしょう。

特に現在、ドコモ、au、ソフトバンクのパケット料金やかけ放題サービスの料金が、高止まりしており、多くの人がそれに対して不満を持っています。
既に、感度の高い人は徐々にSIMフリー端末+MVNO回線に移行していっていますが、SIMロック解除のニュースが喧伝され、多くの人がそのことに興味を持てば、SIMロック・SIMフリーの概念が一気に一般化すると考えられます。


キャリアのAndroid端末は苦境に?


SIMロック・SIMフリーの概念が一般化し、SIMフリー+MVNO回線という手法が世間によく知られるようになると、次に起こるのは何でしょうか?
それは、ドコモ、au、ソフトバンクといった、月額使用料の高いキャリアのAndroid端末が売れにくくなることだと思います。

iPhoneと比べて、相対的にAndroid端末のブランド力は弱めです。
ブランド力のある端末と言えば、せいぜいソニーのXperiaか、サムソンのGALAXYくらいでしょうか?
それでも、iPhoneのブランド力とは圧倒的な差があります。

この1〜2年でスマートフォンはすっかりコモディティ化しており、一部の人を除いて、どうしても最新鋭のAndroid端末が欲しいという人は、そう多くありません。
また、主にアジアのメーカーから、zenfoneやascendといった、必要十分な機能を備えた、廉価で魅力的なSIMフリー端末の発売も相次いでいます。

そうなると、「キャリア端末(2年縛り)+キャリアの高額な月額使用料」に対して、「SIMフリー端末(縛りなし)+MVNOの廉価な月額使用料」は、当然比較対象になってくるでしょう。
特に、端末一人分ならそれほど気にしないで済むと思いますが、家族全員分の毎月数万円程度の月額使用料を払っているような人は、家計のために携帯契約料が真っ先に削減対象になると思われます。

個人的希望を言えば、さらに国内メーカーがSIMフリー端末をどんどん直売すれば、その傾向はより盛り上って楽しいのですが。


ではiPhoneはどうか?


一方、現時点で最もブランド力があるiPhoneはどうでしょうか?
iPhoneの場合は、当たり前ですがiPhoneしかないため、契約の比較対象が、「キャリア版iPhone(2年縛り)+キャリアの高額な月額使用料」と、「アップルストアのSIMフリーiPhone(縛りなし)+MVNOの廉価な月額使用料」となります。

その比較であると、おそらくトータル額は変わらないか、もしくはキャリアのキャッシュバック施策などで、キャリアと契約するほうがが安くなると考えられるため、Androidに比べるとしばらくは安泰かもしれません。
私などは、iPhoneありきで考えてしまうため、やむなくキャリアからキャリアへとMNPで渡り歩くかもしれません。

しかし、世の中には私のようにiPhoneありきという人ばかりではありません。
少し前までは、Androidに比べて、iPhoneはユーザーインターフェースが優れておりヌルサクだ、というアドバンテージがあったかもしれませんが、最近は十分にAdroidが進化し、iPhoneならではのアドバンテージはほとんど無くなってきています。
強いて言えば、比較的安全で豊富なアプリと、豊富なアクセサリーくらいでしょうか。

一定数の人間は、これまでiPhoneを使ってきたからそのままiPhoneでと考えると思いますが、そこまでこだわりのない人間は徐々に廉価なAndroid勢に移行していくことが考えられます。
また、親に端末代や使用料を負担してもらっている若年層などは、そもそも財布を握る親の決定権に従わざるを得ません。

したがって、iPhone自体の価格破壊は起きないでしょうが、現在の圧倒的なシェアはこれ以上伸びることはなく、削られていく一方になることが想定されます。

Appleが、iPhone 5cの様に中途半端に安い廉価版ではなく、本当に安い廉価版iPhoneを発売すれば、話は少し変わるのかもしれませんが、Appleはブランド力保持のためにその施策は取らないでしょう。
年々iPhoneのシェアが削られていく状況になった時、Appleが、もしくはキャリアがどのような施策をとるのか、興味はつきません。


結局SIMロック解除義務化はユーザーにとってメリットしかない


これまで書いてきたように、SIMフリー端末が一般化するということは、すなわちユーザーにとって選択肢が大きく増え、たいていの場合に月額使用料が安くなることを意味します。

ソフトバンクの孫さんなどは、これまで「SIMロック解除の実際のニーズは少ない」などと言ってきましたが、これはSIMロックを解除したくないキャリア側のポジショントークです。(それが悪いと言うのではなく、私も孫さんの立場にいたら、組織防衛のためにそのような発言をすると思います。言うのはタダですからね。)

もちろん、SIMフリー+MVNO端末といった契約形態が一番的になるにつれて、例えば、購入にあたって丁寧に面倒を見てくれるショップがない、留守番電話サービスがない、海外でのパケ放題がない、端末が故障した場合のケアが乏しい、といった数々の課題が表面化してくると思います。
しかし、今後そういったニーズが大きくなってくれば、各社が競争して、それに対するサービスを競うことになるでしょう。

私の身勝手な考えかもしれませんが、ユーザーが大きな自由を手に入れることと比べれば、これらの課題は些細なことだと思います。

唐突ですが、「もやしもん」というマンガの中に、樹教授というキャラクターがいて、「豊かであるとは何か? 豊かとは選択する自由があることではないか?」という趣旨のことを言っていました。
私も常々そう思っています。

携帯を契約しようと思ったら、どの会社も全く同じ高額な料金という状態は成熟した市場でしょうか?
今年は、その市場が大きく動く年になります。

例年以上に話題に事欠かない年となりそうで、今からとても楽しみです。