一般に、SIMフリー端末の利点としては、次の2点が挙げられます。
- 国内で3大キャリア以外のMVNOのSIMが使える
- 海外で現地のSIMが使える
国内では特に1. のメリットがクローズアップされており、少しずつ人気が高まってきています。
2. のメリットは、主に中長期で海外に行くことが多い人にとって、日本と同じ端末を使えるということで、一部の人々に人気があります。
しかし最近ふと疑問に思ったことがあります。
SIMフリーの端末+MVNOの運用だと、海外では現地のSIMが使える、しかし逆を言えば必ず現地のSIMを調達しないと通信端末の用をなさないのではないか?
そんなことをいろいろ考える中でふと思い当たったのは、タイトルにもあるとおり、MVNOのSIMにおいて国際ローミングは可能なのだろうか?という疑問です。
私が海外旅行に行くときは、必ず国際ローミングを利用
10年ほど前までは、そもそも携帯自体が海外の電波に対応しておらず、国内と同じ端末を使いたい人はわざわざグローバル端末を買ったり、国内端末とは別に別途レンタルをする必要がありました。
しかし現在は、多くの携帯端末が海外の電波に対応しており、その端末を各国の通信会社に接続することで、国内にいるのと同じように電話やインターネットを利用することができます。
海外パケ・ホーダイ | サービス・機能 | NTTドコモ |
海外ダブル定額 | au |
海外パケットし放題 | モバイル | ソフトバンク |
もし国際ローミングを使えないとなると、どうなるでしょう。
私などは会社の親睦旅行で、パックツアーを利用して海外に行くことが多いのですが、その場合だと、空港に着くととりあえずツアーコンダクターが待っており、間をおかずホテルまで連れて行かれます。
だいたいツアコンのところに集合する時点で、飛行機内では切っていた携帯をオンにして、現地の携帯会社の電波を掴んで国際ローミング開始といった感じです。
これがもし国際ローミングを使えないとなると、皆を待たせて空港内でSIMを販売している店舗を探す必要があります。
パックツアーなどでは、客が自分たちのグループだけではないことも多いことから、あまり空港で自分勝手な行動をとることははばかられます。
旅行の仕方は個人によって様々でしょうから、空港で自由に動ける人は現地SIMを調達すれば良いと思いますし、私のパターンのようにせいぜい年1回、二泊三日程度のパックツアーで行く人にとっては、1日数千円で使える国際ローミングサービスは非常にありがたい存在と言えます。
MVNOの国際ローミング対応状況
それではMVNO大手の、日本通信、IIJ、OCN、BIGLOBEの国際ローミング状況(別途オプションも可)を確認してみます。
まず日本通信の「スマホ電話SIM」。
よくあるご質問 | スマホ電話SIM |
Q 海外でも使えますか?
A 音声通話は国際ローミングにてご利用いただけます。データ通信はご利用いただけません。
電話は使えるけど、パケット通信は使えないようです。
電話が使えるのは便利ですが、ウェブもGoogleマップも使えませんから、わざわざスマートフォンを海外に持っていく価値は非常に乏しくなります。
続いてIIJ mioの「IIJmio高速モバイル/Dサービス」。
これ以降は電話機能はそもそもないので、パケット通信のみの話になります。
mio高速モバイル/D - 価格・仕様 |
注意事項ということで、残念ながらIIJも×。
本サービスのSIMカードに音声契約は付帯しておりません。また、国際ローミングには対応していません。
続いてOCNの「ONE モバイルONE」ですが、国際ローミングに関する記述を見つけられませんでした。
わざわざ書いていないということは、できないと考えていいでしょう。
しかし「OCN モバイル ONE for Business」というサービスに、じき国際ローミングにもオプションで対応する、というような記述を見つけました。
ニュース 2013年12月20日:法人向けモバイルデータ通信サービスを大幅に強化「Arcstar Universal Oneモバイル」と「OCN モバイル ONE for Business」にご利用の通信容量・速度に合わせて選べる4コースが新登場 | NTT Com 企業情報 |
(3) 多彩なオプション:SMS、国際ローミング、ワンタイムパスワード(MCOP)認証、グローバル固定IPアドレス等企業用途に合わせたオプションを提供
※ ワンタイムパスワード(MCOP)認証は、Arcstar Universal Oneモバイルのみ、グローバル固定IPアドレスはOCNモバイルONE for Businessのみのオプション設定となります。OCNモバイルONE for Businessの国際ローミングオプションの提供は2014年2月頃を予定しています。
MVNOでも、少なくとも物理的にできないということはないようです。
有料オプションになっても良いので、一般ユーザー向けの「ONE モバイルONE」も、国際ローミングに対応して欲しいものです。
最後に私も現在iPadで利用している、BIGLOBEの「BIGLOBE LTE・3G」です。
これも残念ながら、国際ローミングに関する記述を見つけられませんでしたが、OCNと同様わざわざ書いていないということは、できないものと考えられます。
結論としては、MVNO大手4社においては、オプション対応も含めてバケット通信の国際ローミングはできないということのようです。
(もし誤解がありましたら、Twitter等で教えて下さい。)
なおSMSについては日本通信はもちろん可能ですが、その他の会社もできるとは思いますが詳細は不明です。
しかしわざわざスマートフォンを持って行って、SMS専用機にしかならないというのもなんだかなあと思いますので、やはり例えば3大キャリアよりは安い日額料金で、パケット使い放題といったオプションサービスを実現してほしいものです。
少し盲点だった国際ローミング。でも今後MVNOが一般化するには海外での対応策が必要
このエントリを書きながらひとつ思ったのは、海外のSIMを事前に日本で手軽に入手できれば良いのにということ。
日本でも入手できないことはなさそうなのですが、極めてマイナーな感じで、また割高感があります。
まずはMVNOが、オプション料金でいいのでドコモと同じ国際ローミングができるようにすることが望まれます。
それから少し変化球ですが、MVNO各社が海外の各国の現地SIMをネット販売してくれたら良いのにと思いました。
iPhoneが好きすぎる: IIJのみおふぉんは、音声通話とSMSは国際ローミング対応、データ通信は不可 |
iPhoneが好きすぎる: ドコモ・au・ソフトバンクからMVNOに移行するデメリット(2015年3月版) |