RSS登録をお願いします!

follow us in feedly

2015年3月8日日曜日

ドコモ・au・ソフトバンクからMVNOに移行するデメリット(2015年3月版)

最近、携帯やスマホにそれほど興味のない人の口からも、MVNOって何? MVNOってどうなの? という会話が聞こえてきます。
特に今年は、2015年5月以降に発売されるスマホが、SIMロック解除を義務付けられることになるため、MVNOの市場が一気に拡大すると考えられます。

iPhoneが好きすぎる: 今年は何と言ってもSIMロック解除義務化が目玉

回線はドコモのネットワーク、月々の使用料は大手キャリアの半額以下、2年縛りといった厄介な契約事も少ない、使い放題といったMVNOならではのサービスもある、となると大手キヤリアからMVNOに移るデメリットはほとんど無いように思えますが、実際のところどうなのでしょうか?

この手の話に詳しい人には常識でも、普段携帯やスマホにあまり興味のない人には見えにくい項目について整理してみます。


キャリアメールが無くなる


これが最も分かりやすいデメリットかと思います。
キャリアメールとは、いわゆる大手キャリアの携帯・スマホにはもれなくついてくる、@docomo.ne.jp、@ezweb.ne.jp、@softbank.ne.jpといったメールアドレスのことです。

確かに、今どきの若い人にとってはメッセージングサービスはLINEが主流であり、おそらくほとんどキャリアメールを使用したことがないので、特に問題になることはないかと思います。

しかし、私のようなアラフォー以上の人間にとっては、使っている人と使っていない人がいるLINEと違って、誰もが確実に持っているキャリアメールが極めて重要なメッセージングの手段です。

私もこれまで、できるだけMVNOに早く移行するべく、キャリアメールからLINEに切り替えていきたいとトライしてきましたが、現実はなかなか難しいことが分かってきました。

iPhoneが好きすぎる: おっさんがキャリアメールを捨てるべくLINEをはじめてみた

せいぜい同世代の人ならば、LINE入れてないの? などとも言えますが、自身の先輩や上司に言えるかというとそれは少々難しいことです。
相手が、現状キャリアメールで全く困っていない場合であればなおさらです。

別に、私がキャリアメールを捨てて、LINEをやっていない相手対してはGmailを教えるということもありなのですが、そこで浮上してくる問題が、相当数の人がキャリアメールの設定においてPCメールを受信しないようにしているという事実です。

悲しいかな、キャリアメールアドレス宛てに届くPCメールをシャットアウトすることは、迷惑メールが届かないようにする有効な手段であるため、やむをえないところがあります。
ちなみに、auなどは初期設定の段階で、電話番号やURLが書かれたメールを拒否する設定となっているようです。

AU版iPhoneのSMSが届かない時に真っ先に疑うべき設定 | あなたのスイッチを押すブログ

MVNOに移行してキャリアメールがなくなる件について、現実的かどうかは別として、次のような解決方法が考えられます。

例えば、MVNO各社がキャリアメールと同じ仕様レベルのメールサービスを用意するというものです。
しかしこれについては、IIJの佐々木氏がこのように述べています。
「キャリアメールは、通信キャリアの長年の信頼によって調整されてきた努力の結晶。我々が今日から参入しますという世界ではないので、なかなか頭の痛い問題だと思っている」(同氏)
MVNOが今さら、大きな労力を掛けてキャリアメールに参入するのは、建設的でなく、また割に合わないと考えられます。

あと素人考えとして思いつくのは、世界共通のものとして、従前のSMSに替わる、LINEやAppleのiMessageライクの、モバイル端末向けの標準メッセージプロトコルを作られないか? というものです。

ベースの通信のやりとりの仕様だけ策定して、各アプリメーカーがそのフロントエンドとしてガワを作ると。
しかし、ネットで色々調べてみましたが、残念ながら現状そういう思想やプロジェクトはなさそうです。

世界的には、各国にWhatsAppやカカオトークといった流行りのメッセンジャーがあり、加えてskypeやFacebookメッセンジャーもある。
特に誰も困っていない中で、そういった仕様をわざわざ開発するインセンティブはないということなのでしょうね。

という訳で、私のようなアラフォー世代は、MVNOに移行する時は、えいっと清水の舞台から飛び降りるつもりで、キャリアメールを捨てなければならないのが現状です。


留守番電話サービスがない場合がある


MVNOにおける留守番電話サービスは、少し前まではほとんど提供されていませんでしたが、最近は音声通話サービスの拡充とともに、留守番電話サービスを提供する会社も徐々に増えてきました。

現時点(2015年3月時点)ですと、IIJ mio、b-mobile、OCN モバイル ONEと、主要どころは提供しているようです。

主要MVNO音声通話プラン比較(2/14更新) | もちあるいてなんぼ。

サブ回線ならまだいいですが、メイン回線をMNPする場合などは、留守番電話サービスがあった方が良い人も多いと思われます。
価格が安いだけで飛びついて、後で困らないように、MVNOを選ぶ際にはよく確認しておく必要があるでしょう。

ちなみに、auやソフトバンクは留守番電話サービスは無料ですが、MVNOの場合はもれなく税抜き300円程度の有料となっています。
(なお、大手キャリアの中でもドコモは元々有料。)

元々無料だったのに、MVNOに移行したことで有料になるのは少々くやしいという人もいるかもしれませんが、裏ワザとして、無料で留守番電話サービスを別途用意するというやり方が存在します。
参考までにリンクを貼っておきます。


docomo版iPhoneで留守番電話を無料で使う方法。カケホーダイとIP-Phone SMARTを活用した疑似留守番電話を構築


海外に行った際にパケットローミングサービスが使えない


この点は、あまり話題に上がらないため、もしかしたら気づきにくいポイントかもしれません。

私事ですが、私はここ数年、年に1回程度海外旅行に行っています。
その際には、海外においても、電話やウェブ、Googleマップなどを使うため、必ずキャリアのローミングサービスを利用しています。

確かに、大手キャリアの国際ローミングサービスは、国内にいる時と比べて、日当りの料金がバカ高いのですが、それでも2泊3日程度であれば総額も知れてますし、何より右も左も分からない海外でGoogleマップを利用できるメリットは計り知れません。

確かに、安さだけを求めれば、現地の格安SIMを利用すれば良いということもあるかもしれませんが、そのためにはSIMフリー端末を用意して、到着した空港でSIM売り場を探して右往左往し、慣れない外国語でSIMショップ店員とやりとりしてSIMを購入する必要があります。

海外に行く頻度が高い人や、現地のSIMを使うこと自体が楽しみという人以外は、あえてそういった苦労をする必要はないと思われます。

iPhoneが好きすぎる: MVNOは国際ローミングが使えるのか? 海外では逆に不便かも

さて、前置きが長くなりましたが、MVNOにおける海外での音声通話・パケットのローミングサービスの提供状況については、ざっくり言って以下のようになります。
  • 音声通話のローミングサービスをしているところはある。
  • SMSのローミングも、概ね音声通話のローミングサービスに付帯している。
  • パケットのローミングサービスを行っている会社は、一般消費者向けでは皆無と言っていい。

このことについて、少し前のIIJミーティングにおいて、以下の様な発言があったようです。


留守番電話と違って、近々にサービスが提供される見込みは薄そうです。
現地で使えるモバイルルータなどを用意することが、現実的かもしれません。


OSのアップデート後に適切に動作する保証がない


これについては、iOS8がリリースされた際に、iPhoneでmineoのSIMが使えなくなった問題が記憶に新しいところです。
ちなみに、同じau系のMVNOであるUQ mobileも、現時点で使えない状況が続いています。

石川温のスマホ業界新聞:mineo・iOS8問題で浮かび上がるアップルとMVNOの関係 ━━SIMフリーiPhoneを安心して使える日は来るのか - ITmedia Mobile

この問題については、現時点でApple、au、mineo、UQ mobileの全てが、具体的な原因について言及しておらず、本当の理由は分かりません。
しかし、おそらくau系の通信方式が、若干他のキャリアと違っていたことが原因のひとつであることは、想像に難くありません。

今後、このような事がまた起こるのか?
それは、最終的には数の論理になってくるかと思います。

いくらiOSがバージョンアップしたからといって、ドコモ、au、ソフトバンクといったメガキャリアのSIMが使えなくなることはまず考えられません。
なぜかというと、これらのキャリアは、Appleにとって多数のユーザーを束ねる重要な顧客であり、そのようなことは起こらないようリリース前に十分に配慮を行うため、そういったことが起こるはずはないのです。

例えば、iPhone 3Gが発売されたばかりの時、ネットサービスでiPhone用に最適化されたところはまずありませんでした。
しかし、今では主要なネットサービスはiPhone、もしくはAndroid用にほぼ最適化されています。

つまるところ、この世界は、数が多かったり、デファクトスタンダードであれば、有利な世界なのです。

したがって、今後日本国内においてMVNOのユーザーが増え、メガキャリアの半数にも及ぶというような状況になれば、Appleも決してMVNOを軽視することはできません。

そのため、今後この問題は、時間が経つにつれ収束していくと考えられます。
ただ、mineo、UQ mobileについては、auと共に、通信形式をよりスタンダードな方式に移行していく方が早いかもしれませんね。


スマホ本体が故障した時に困る


ドコモ、au、ソフトバンクといったキャリアは、全国津々浦々にショップを展開しており、我々ユーザーの日常的な窓口になっています。
したがって、本体が故障した、破壊したといった場合は、とにかくショップに飛び込めば、まずなんとかしてくれます。

イオンスマホの様に、SIMフリー端末+MVNOのSIMをセットで店頭販売している場合は、故障しても、その店頭に持ち込めばなんとかしてくれるかもしれません。
しかし、自分でドコモ端末もしくはSIMフリー端末を用意して、別途SIMのみの契約をする場合は、故障した場合は、自分でなんとかするしかありません。

これについてですが、iPhoneの場合、Apple CareというAppleが行う保証サービスがあり、ところどころにサービス拠点があります。

このブログは、iPhoneが好きすぎるブログなので、iPhoneを使用することを前提として話を進めますが、私は現状ソフトバンクでiPhoneを契約していながら、保証サービスはApple Careを選択し、事実これまで、2回ほどガラスを割って新品に交換してもらっています。
(自然故障でなく、自身の不注意による破損は、1回につき7,800円を支払う必要があります。)

ただ、これについては現状ちょっと微妙な状態にあって、MVNOのSIMを使えるSIMフリーiPhone 6は、Apple Storeにおいて販売中止の状態が続いています。
一方、EXPANSYSなどから海外版のSIMフリーiPhoneを入手した場合は、Apple Careに入れないという情報も散見されます。
そのあたり、その時々の状況をよく考慮して、本体の入手方法を検討する必要がありそうです。


皆が納得してMVNOに移行することを期待


いろいろ列記しましたが、これらの数々の課題は、MVNO拡大にともなうやむを得ないハードルだと思っています。

このブログを読んでいるような皆様には釈迦に説法かと思いますが、世の中の大勢の人がこういったデメリットをちゃんと理解した上でMVNOを選択し、将来MVNOに移行したことを後悔しないで済むよう願っています。